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action or later. Please see Debugging in WordPress for more information. (This message was added in version 6.7.0.) in /home/yukiozaki/www/yukiozaki.com/wp-includes/functions.php on line 6114twentytwentyone
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アクション以降で読み込む必要があります。 詳しくは WordPress のデバッグをご覧ください。 (このメッセージはバージョン 6.7.0 で追加されました) in /home/yukiozaki/www/yukiozaki.com/wp-includes/functions.php on line 6114光は粒子としての性質と波としての性質のいずれも持ち合わせている。光は図1に示すようにその進行方向に垂直に電場(E)と磁場(H)を持ち、EとHの方向を互いに直角に保ちながら+と-が同位相で変化する。このような電場と磁場の波を電磁波という。この電磁波の挙動はマクスウェル方程式(Maxwell equation)によって記述される。
光が物質に当たると、その一部は透過し残りは吸収または散乱される。光の吸収の度合いを波長ごとに定量的に測定することで、溶液の濃度や様々な化合物の検定を行うことができる。光は粒子としての性質と波としての性質の両方を兼ね備えている。振動数\(\nu\)の光の波束はエネルギー\(h\)の光量子と等価である。ここで\(h\)はプランク定数を表す。プランク定数と光の波長λとの間には(1)式の関係がある。
\begin{equation} \nu = \frac{c}{\lambda} \end{equation}
ここで\(c\)は光速である。(1)式の\(\nu\)の単位はHz[\(s^{-1}\)]であるが、ラマン分光法ではそれを\(c\)で割った波数[\(cm^{-1}\)]を単位として用いる。これは、式(2)で表されるように1 cmあたりに含まれる波の数である。
\begin{equation} \tilde{\nu} = \frac{\nu}{c} = \frac{1}{\lambda} \end{equation}
物質に光が吸収されると、分子内の電子のエネルギー、振動エネルギーや回転エネルギーが励起される。
分子は光を吸収する以外に散乱もする。物質に振動数\(\nu_{1}\)の光を入射すると、入射光と同じ振動数の光が散乱される。これをレイリー散乱(Rayleigh scattering)という。物質からの散乱光をプリズムで分光すると、入射光とは異なる波長の弱い光が認められる。散乱光のスペクトル線を整理すると、\(\nu_{i}\), \(\nu_{i} \pm \nu_{1} \),\(\nu_{i} \pm \nu_{2} \),…のような関係が成立することがわかる。
\(\nu_{i} \pm \nu_{R} \)(\(\nu_{R} > 0\))を与える光散乱をラマン散乱(Raman scattering)という。入射光よりも波長の長くなったラマン散乱(\(\nu_{i} - \nu_{R} \),)をストークス(Stokes)散乱、波長の短くなったラマン散乱(\(\nu_{i} + \nu_{R} \),)をアンチストークス(Anti-Stokes)散乱と呼ぶ。図2に分子による光の散乱の概念図を示している。
ストークス光、アンチストークス光のいずれも、入射光と分子がエネルギー交換したために発生したと考えることができる。普通の可視光を用いたラマン散乱では、入射光のエネルギーは電子励起には足りないため分子は瞬時、仮の高エネルギー状態に励起され、すぐに元の準位に戻る。この時最初より振動エネルギー準位の高い状態に落ちてくると、その分だけ振動数の少ない光が発生する。逆に最初に振動エネルギーが高い状態にあり、それが散乱後に振動エネルギー準位が低いところに落ちてくると、その分だけ振動数が増えた散乱光が発生する。図3にラマン散乱の光学過程の概念図を示した。
ラマン分光学で重要なのは入射光(\(\nu_{i}\))と散乱光(\(\nu_{i} \pm \nu_{R} \))の振動数の差であるラマンシフト(Raman shift)であり、散乱光自身の振動数ではない。ラマンシフトは物質に固有であり、物質の種々の運動状態に対応するエネルギー準位に関係づけられる量である。
【参考文献】
ラマン分光学入門: 著者 北川貞三, Anthony T. Tu, 発行所 化学同人, 1988年.
ラマン分光法: 著者 濱口宏夫, 平川暁子, 発行所 学会出版センター, 1988年.
ナノスケールの金属構造に光を照射すると、金属中に存在する自由電子の集団振動(局在表面プラズモン)が励振され、回折限界を超えるナノ空間に光を捕集・局在させることができる。このプラズモン局在場は、光と分子の相互作用を著しく増強し、1分子レベルからのラマン散乱光も測定可能になる【表面増強ラマン散乱(Surface Enhanced Raman Scattering: SERS)】。
また、操作性の高い金属ナノチップ先端に生じるプラズモン場によるラマン散乱増強【チップ増強ラマン散乱(Tip Enhanced Raman Scattering: TERS)】を使う事により、ナノの空間分解能で分子情報と形状イメージを同時測定することができる。
しかしながら、プラズモンによるラマン増強は解っていないことが未だ多く、我々の研究室では、SERS現象のメカニズム解明およびSERSの新しい可能性探求に取り組んできる。また、TERSを使ってナノサイズの機能性マテリアルの特性を高空間分解能で明らかにする研究も行っている。
従来の粒子集団系を対象とした測定では、SERSピークやLSPRバンドは平均値として観測されるため、SERS発現機構を実験的に検証することは難しい。
そこで尾崎研究室では、独自の装置を開発することにより、光の回折限界以下のサイズを持つ単一金属ナノ粒子凝集体のSERSとLSPRの光学的相関を正確にとらえるアプローチを取ってきた。
その結果として、LSPRバンドの長波長シフトに伴って、SERSの増強が短波長のAnti-Stokes側から長波長のStokes側へと移動していることを明らかにした(右図)。このことは、ラマン散乱光がLSPRと結合して増幅される過程を直接観測したことを示している。
[1] T. Itoh et al., Phys. Rev. B 76, 085405 (2007).
[2] K. Yoshida et al., Phys. Rev. B 81, 115406 (2010).
SERSでは、金・銀ナノ微粒子上の局在表面プラズモン共鳴による増強電磁場でラマン散乱効率が1012倍にも増加して、単一分子振動分光も可能になる。
しかし単一分子レベルでは、SERS光の明滅やスペクトルの揺動が観測されて対象分子の分析を阻害する。明滅の時間間隔とその頻度が明状態では冪乗則に従うが暗状態ではそこからずれるという、量子ドットでの蛍光明滅とは正反対の特徴を見いだし、その原因として周期的なプラズモン増強電磁場の存在を電磁場計算などから予言した。また、冪乗則の冪指数がプラズモン共鳴による増強電磁場の広さや深さに影響されている事を突き止め、SERS暗状態での分子の挙動の情報が得られる事を明らかにした。
[1] K. Kitahama et al., Phys. Chem. Chem. Phys. 13, pp7439–7448 (2011).
[2] K. Kitahama et al., J. Phys. Chem. C 117, pp9397–9403 (2013).
分子キラリティはサイエンスやテクノロジーの幅広い分野において非常に注目されている。キラル分子のエナンチオマー同士で特性が著しく異なることも多く、エナンチオマーの片方が薬になって他方が毒になるといったケースもある。
我々の研究室では、CT-SERS分光法という新しい切り口によって、様々なキラルアルコールに対して一般性が高く、効率的かつラベルフリーなエナンチオ選択的識別を実現している。キラルセレクター分子のSERS強度における相対的比率は、その周辺分子のエナンチオマーに強く依存する。
これは、キラル異性体がセレクター分子との分子間水素結合により異なる配向状態を形成し、その結果セレクター分子の異なるCT状態が生じるためであると考えている。この研究は、従来に無いエナンチオセンシング戦略に向けた新しい道を切り開くものである。
[1] Y. Wang et al., Angew. Chem. Int. Ed. 53 (2014), DOI: 10.1002/anie.201407642
半導体物質は表面増強ラマン散乱(surface‐enhanced Raman scattering :SERS)活性基板として様々な分野へSERS技術を用いるために応用されています。
ここでは、半導体の光学特性と触媒特性に基づいた金属イオン検出のための新しい‘ターン・オフ’SERS戦略を紹介します。特に、水中のクロム(VI)の同定のためのSERSに基づいた分析について説明します。現在の研究は化学増強の寄与に基づく半導体増強ラマン分光のための実現可能で上手な応用法を提供しています。
[1] W. Ji et al., Chem. Sci., 2014 (revised).
エピタキシャルグラフェンは、SiC表面のSi原子を昇華し炭素原子をグラフェンとして形成させることにより作られるユニークなタイプである。この方法で作られたグラフェンは、欠損が少なく、大面積化も可能であり、電気回路への高い適合性を持つといったデバイス応用に向けた重要な性質を持つ。エピタキシャルグラフェンの特徴の一つは、ナノスケールサイズの歪みにより機能性が大きく変化するものであり、歪みを人工的に作製•制御する工学的応用が期待されている。
我々の研究室では、これらの特性を明らかにするチップ増強ラマン散乱(TERS)分光法に着目している。TERSは、通常のラマン分光法では成し得ないナノメートルスケールでの歪みや欠損についての優れた空間分解能測定を可能にし、グラフェンナノ構造についてのより明確な情報が得られる。
[1] T. Suzuki et al., Phys. Chem. Chem. Phys. 16, pp20236–20240 (2014).
ポリマーナノコンポジットとは、ポリマーにフィラーと呼ばれるナノ物質を混合してポリマーの特性を改善したものであり、未来の機能性高分子材料として多方面での応用展開が期待されている。
しかしながら、相互作用しているポリマー・フィラー界面は極微小領域であるため、通常のラマン測定では相互作用領域のシグナルが平均化され、的確に捉えることができなかった。そこで我々はナノメートルオーダーの空間分解能を持つTERSを利用することで、ナノコンポジット界面からのみのスペクトルを選択的に測定してきた。
これまで当研究グループでは、ベンゼン環を有するポリマーについてポリマーとカーボンナノチューブとの間でπ-π相互作用が起こり、カーボンナノチューブに沿うような形でフェニル基の配向が変化することがわかっている。
[1] T. Suzuki et al., J. Phys. Chem. C 117, pp1436–1440 (2013).
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